---------------------------------------------------------------------- ~西陣の香~Vol.19 発行日2005/04/15 ---------------------------------------------------------------------- こんにちは、きものACTの中西 です。
桜の季節、暖かかったり寒かったり、少しずつ暖かくなってきましたね。
先日、亡き祖父の家の庭で、松の剪定をしておりました。 やる人間がいないので、私一人で奔走です(TT) バチンバチン、調子に乗って切っていると、なにやら痒い。
よく見ると、枝から液体が。。。。
こ、これはもしや。。。。松脂?
奥から切ればよいものを手前から奥に向かって切っていたために、 体中松脂だらけ。。。痒いはずです。
翌日、アレルギー持ちの私は、 痒みと花粉症で、ひどい目にあってしまいました。 でも、久しぶりに暖かな庭でのんびり過ごせた楽しい時間でした。
私が花粉症と痒みで戦っている時、荷物が届きました。
足利から新しい銘仙の到着です!
http://www.kimono-act.com/meisen/a/a-p.htm
遠方で来られないという方、 お好きな柄を選んでメールを下さいな^^
春なので、京都見物がてら、お店によっていただける方は、 貴女一人の空間で選び放題、あわせ放題です。
私、あまりというかほとんどしゃべらないようにしてますので。。。 鼻水が。。。(笑)
この銘仙の編集をしているのと同時に先に進行していたのが、
紋紗 捩り(もじり)織の生地です。
ダイヤモンドとレインボウですが、 画像では、うまくお伝えできないかな~なんて考えてます。 というのも、こちらも銘仙と同じで、角度によって色が綺麗に変化します。 (カメラマン泣かせです。ほんとに、何枚とればいいのやら。。。)
生地を実際に見た方は、誰もが、
「うわ~、きれい~」とおっしゃっていただいております。
春、夏、秋とスリーシーズンいけますので、 道中着や道行、塵除けコート、雨コート(撥水加工済みです)、(長)羽織に、 お好きな用途で仕立てられます^^v
これ、どこかでみたことないですか~? うちで、実際創っているものなので(笑) 見たことある方ならこの価格、破格に間違いなし!
http://www.kimono-act.com/goods/lace_usugasane_mon-sya_all.htm
最後に、トドメとばかりに、滞っていた「ジャガードについて」
徹夜で絵を描いて編集したんですよ~ 気が向いたら、読んでくださいね^^
<ジャガードについてPart4>
<前回までのおさらい> 機装置を縦方向に見てみると、下から 矢金、ヘルドなどの綜絖、目板を通って、 それを吊り下げる通糸から竜頭でまとまるかま数、 さらに首糸からジャガードの縦針に繋がります。 詳しい図を書いてみました。
見てくださいね^^
http://www.kimono-act.com/background/jyagardo-system_1.html
さて、今回は、なぜ縦針が横針に押されるかです。
まずは、以下の図をご覧ください。
http://www.kimono-act.com/background/jyagardo-system_6.html
これは、縦針と横針、そして横針に影響を与えるシリンダの関係の図です。 解説しますと、一越(ひとこし:横糸が一回通ること)毎に 直方体のシリンダが90度ずつ回転します。
この回転運動と同時に、 ガチャン、ガチャン。。。。と横針のほうに数ミリ単位で シリンダ自身が左右に押し付ける運動を起こすわけです。
図では、 一回右側に押し付け、左に離れた際、90度回転し、 再び右側に押し付ける、という運動を繰り返します。
シリンダは、このような直方体のものです。
http://www.kimono-act.com/background/jyagardo-system_3.html
下は、紋紙ですが、シリンダの一面とほぼ同じ大きさです。
シリンダの穴は、一面だけしか入れていませんが、4面とも開いております。 また、穴の数などは、この図の限りではなく、あくまでイメージです。
このシリンダに紋紙と呼ばれる、 織物の柄やどの横糸を通すかなどの情報が掘り込まれたものが ピッタリ合わさります。 シリンダの一面で紋紙一枚、 つまり、90度シリンダが回転するごとに、紋紙が変わります。
先程、一越毎にシリンダが90度回転する、と書きましたが、 紋紙一枚で一越(横糸が一回通ること)ということと同じ意味です。
織物の柄(紋の丈)が長いと、 それだけ紋紙の数が必要なことがここでもわかりますよね。
下図は、シリンダを真横から見た時の運動の様子
http://www.kimono-act.com/background/jyagardo-system_2.html
シリンダには、4面とも無数の穴が開いていることは、先程書きましたが、 シリンダに合わさる紋紙にも、一枚ずつ違った穴が開けられています。
ここが重要!
穴が開けられているところ A と 開けられていないところ B。
シリンダが横に押す運動をした時、
A:紋紙の穴が開けられているところの横針は、紋紙を通って シリンダの穴に入り込みます。 横針は動かず、横針と連動するはずの縦針も横方向には、押されません。
B:一方、紋紙の穴が開けられていないところの横針は、手前の紋紙にあたり、 さらに横方向の運動が伝わり、縦針をも押し込みます。
http://www.kimono-act.com/background/jyagardo-system_5.html
AとBでどう違うのか?
それは、ジャガード上方のナイフ(棒刀)に関わってきます。
http://www.kimono-act.com/background/jyagardo-system_4.html
シリンダは、紋紙を介して横針に影響を与えましたが、 ナイフ(棒刀)は縦針を上下させるのに使われます。 (*ナイフというのは、物を切るナイフではなく、 縦針を引っ掛けるものです。)
先程のAとBで違うのが良くわかると思います。
つまり、縦針が上がると、それに吊られている縦糸も上がります。
縦針が上がらないと、吊られている縦糸も上がりません。
縦糸が上がっているところと上がっていないところ、 そこに横糸が通り、また次の一越で上げ下げが変わります。
横糸が一回通る(一越)毎に、
シリンダが90度回転し、紋紙を一枚ずつ入れ替え、 それに影響された横針が、縦針を押し、 ナイフ(棒刀)で引っ掛け、 縦針に吊られている縦糸を上げ下げしているというわけです。
以上で、「ジャガードについて」、縦方向の運動の解説を終わります。
いかがでしたでしょうか。 解説しようとすればするほど、奥深いものであるため、 簡潔に書いてきましたが、だいたいこんな感じで装置が動いているんだ、 ということをわかっていただければと考えております。
ここが間違っているぞ~という先輩方、お教えお待ちしております<(_
_)> また、ここをもっと教えて欲しい、という方もご連絡お待ちしております。 私のわかる範囲ですが。。。(笑)
何千という縦糸を上げ下げするのに、 どういう装置、仕組みで成り立っているのか? 私も最初は「へえ~」と感嘆の声をもらしました。 また、 この各部の運動が、すべて連動して行われているところに、 すばらしい技術を感じます。
あくまで、アナログですが、
「からくり」の仕組みのすばらしさがそこにあると思います。 ちょっとした狂いが生じれば、 織物にすぐに跳ね返ってくる装置ですが、 それを扱う各職人の技術や苦労、 またそれによって出来上がる織物のすばらしさにもため息が出るばかりです。
大昔のアニメに、 コンピュータから出てくる穴の開いた紙があったのを覚えていますか? 無造作にダダダ~と出て来る様子が描かれておりましたが、 あれも、きっと織物の紋紙などに影響されているのでしょうね。(笑)
★編集後記★
最近のことですが、仕事に私用にほんと休みがないですね~
のんびり、ほんわかモードが好きな私の頭は、
受験勉強してたころ以来の回転で回ってます。
何をそんなに考えているのか?
いろいろありますね~。
愛知万博のこと、西陣の行く末、織物業界について、年金問題、郵政民営化、 対東アジア問題。。。。いったい、私は何者?(笑)
こんな話をすると、ある人が私に向かってこう言いました。
「あなたが考えたら、何かかわるのか?」
「・・・」確かに、考えてても変わらない。。。
しかし、考えなければ^^
まずは、切れるものから切っていきましょう!
愛知万博!
開催期間はいいけれど、終ったあとは、どうなるの? やっぱり宅地ですか? マンモス見に何時間も待つのなら、すぐ近くにある森を探検してみましょう~
自然にふれる時間は、のんびり、有意義に余暇を過ごせますよ~。
ただし、松脂にご注意! ---------------------------------------------------------------------- 今回の西陣の香をお読みになって、貴女はどう思われましたか? 貴女の貴重なご意見をぜひお寄せください。貴女からのお便りが力になります^^
kou@kimono-act.com または
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