紗 捩り織 概要



紗 捩り織 図解
西陣の香Vol.52から抜粋
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  【紗】捩り織について

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みなさんが良く耳にされる紗・絽・羅の3種類の生地。

これらは、からみ織もしくは、もじり織(捩り織)とも呼ばれ、

透かし目のある からみ組織 で出来上がっています。


一番最初に 紗 について説明します。

からみ組織を使って出来上がっている生地、といっても

ちんぷんかんぷんだと思いますので、説明しますと、

まず、織物は、縦糸と横糸から形成されているのはご存知ですよね。

縦糸と横糸の交差によって、また、その交差の仕方によって、

織物の風合いや色の出方、触った感触が異なるのはご存知だと思います。
(平織・綾織・朱子織など)

その基本をご理解頂いた上で、


紗の基本は、縦糸を2種類、横糸を1種類使います。

縦糸2種類というのは、地縦糸 と からみ縦糸 です。

これは、たとえば、すべての縦糸が3000本あると仮定した場合、

奇数本目を地縦糸、1,3,5,7,9,11,・・・・,2993,2995,2997,2999

偶数本目をからみ縦糸、2,4,6,8,10,・・・・,2994,2996,2998,3000

と考えればわかりやすいかと思います。

縦糸のみを見た場合、<こちらの図1をご覧下さい>
<図1>地縦糸とからみ縦糸
地縦糸 と からみ縦糸 紗 捩り織り 図解 概要


ここからが大切!

平織・綾織・朱子織などの場合、
これらの縦糸は、上下して横糸を通しながら、
組織や紋様を織り出しますが(図2をご覧下さい)
<図2>三原組織 平織 綾織 朱子織
平織 組織 紗 捩り織り 図解 概要   斜文織(綾織) 組織 紗 捩り織り 図解 概要   朱子織 組織 紗 捩り織り 図解 概要


【紗の場合は、縦糸が左右に変化します】


流れを解説しますと、まず横糸が一本通ります。(図3をご覧下さい)
<図3>
図3 紗 捩り織り 図解 概要 横糸一越が通った状態
赤・・・からみ縦糸 黒・・・地縦糸 紫・・・横糸


その後、からみ縦糸のみ、下に引っ張られながら、
横に移動(図4をご覧下さい)
<図4>
図4 紗 捩り織り 図解 概要 からみ縦糸が横に移動した状態


そこから、上に引っ張り上げられ開口されて、
横糸が一本通ります(図5をご覧下さい)
<図5>
図5 紗 捩り織り 図解 概要 からみ縦糸が横に移動した状態で横糸が通ります



横糸が通った後、からみ縦糸は、また、下に引っ張られながら
元の位置に戻ります。(図6をご覧下さい)
<図6>
図6 紗 捩り織り 図解 概要  横糸が通った後、からみ縦糸は元の位置へ戻ります

この一連の動作の繰り返しをしながら、もじって織り上げていくわけです。


また、単なる無地の紗であればこれで構いませんが、

ここに、模様(紋)を入れながら織りますと、
紋紗というわけです。(さらに縦糸の上げ下げが複雑になります)

ご理解いただけますでしょうか?^^



要は、縦糸を上下だけでなく左右入れ替え、開口させることによって横糸を通し、
もじりながら織り上げられた生地、それが紗というわけです。


この縦糸の横移動。

単純に考えれば、通常の機装置では、不可能です。

縦糸の上下運動のあいだを横糸が通ることによって、
織物は織られるのが基本ですから、

それを可能にするには【フルエ】という装置が必要になります。
装置といっても、綜絖の一種なのですが、
詳しくなりすぎますので、このあたりで^^v



昨今、夏の着物、薄物は、すべて紗だと思われていらっしゃる方も多いようですが、

違いますので、ご注意くださいね。

平織りの薄物もありますし、変化させたもの、また、今回解説?しました紗、
さらには、紋様が織り込まれた紋紗まで、様々なのですから


次回、絽・羅の解説を予定していますが、。。。むずかしいですかねえ〜。。。

紗の解説、ご理解いただけたかなあ。。。?
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